ホームページの表示が遅いと何が起きるか|人とAIの両方で失うもの

AI・AIO/LLMO

「ホームページの表示が遅い」と言われても、何をどれだけ損しているのかは見えません。先に結論を書きます。遅いページで最初に失うのは、いちばん関心が高かった人です。広告や検索から来た人は、待たされた分だけ戻っていきます。そしてもう一組、待ってくれない読者がいます——AIのプログラムです。この記事では、「遅い」を体感ではなく2つの数字で言い直す方法、当社が実際に測って改善した数値、そして費用ゼロで自社の現在地を測る手順を書きます。

遅いページで最初に消えるのは、いちばん関心が高かった人

ページが開くのを待っている間、訪問者は何もできません。この時間に脱落するのは、興味のない人ではありません。広告をクリックした人、検索結果からわざわざ選んだ人、名刺のQRコードを読み取った人——つまり、こちらが費用や手間をかけて連れてきた人たちです。

しかもこの離脱は、社内からは見えません。ページが開き切る前に戻った人は、多くの計測設定で「訪問」として数えられないためです。結果として、アクセス解析の数字は悪くないのに問い合わせだけが少ない、という状態になります。問い合わせが来ない原因を層で切り分ける方法はホームページから問い合わせが来ないにまとめていますが、速度はその最初の層に効きます。

もうひとつ、社内で気づきにくい理由があります。自社の社員は、そのページを何度も開いています。ブラウザが以前の分を覚えているため、社内で開くと速く見えます。初めて来た人の環境とは別物です。

「遅い」は、2つの数字で言い直せる

速度の話が社内で進まないのは、「重い」「もっさりする」という体感でしか語られないからです。次の2つの数字にすると、直す対象がはっきりします。

  • ページ容量——そのページを1回開くために、どれだけのデータを送っているか(MB/KB)。中身の大半は画像です。
  • 応答時間——見に行ってから、実際に返ってくるまでの秒数。

この2つは連動しますが、同じものではありません。容量が小さくてもサーバー側で待たされることがあり、逆に応答は速いのに画像が重くて表示が完了しないこともあります。両方を並べて記録してください。

当社が測って直した、実際の数値

当社が改修を行い、公開している実測値です。いずれも計測条件つきで実績ページに掲載しています。

対象 ページ容量 応答時間 計測条件
飲食店のランディングページ 6.86MB → 0.52MB 2.67秒 → 0.60秒 改修時実測(2026-08-06)。08-15の再計測でも547KB/0.63秒を維持
当社の採用ランディングページ 21.7MB → 1.6MB — 画像設計の見直し(2026年8月実測)
コーポレートサイト改修(飲食企業様) 21.5MB → 3MB以下 — 診断時実測21.5MB(2026-07)。3MBは改修設計の目標値で、本番反映後に実測を追記

3行目だけ性質が違うので、そのまま書いておきます。3MB以下は目標値で、実測ではありません。達成したかどうかは本番反映後に測って追記します。当社は測っていないものを成果として書かないことにしています。

1行目で起きていたことは特殊な話ではありません。ページの中に画像が直接埋め込まれた状態になっており、開くたびに全部を送っていました。画像を外に出して呼び出す形に変えただけで、容量は10分の1以下になりました。作り直したのではなく、送り方を変えただけです。この改修の経緯は自社サイトを、AIに読ませる設計で作り直した全記録にも記録しています。

費用ゼロで、自社の現在地を測る

特別なツールは要りません。ブラウザに最初から入っている機能で足ります。20分ほどです。

手順1:自分のサイトを、初めて来た人の状態で開く

ブラウザのシークレットウィンドウ(プライベートウィンドウ)で自社サイトを開きます。これで、以前開いたときの記憶が使われない状態になります。社内の判断は、必ずこの状態で行ってください。普段のウィンドウで速く見えるのは、当てになりません。

手順2:容量と時間を、画面に出して記録する

ブラウザの開発者ツール(多くのブラウザで F12、またはメニューの「その他のツール」から開けます)の「ネットワーク」タブを開き、ページを読み込み直します。下部に、送られたデータの合計と、読み込みにかかった時間が表示されます。この2つを、ページごとに記録してください。1ページだけ見て判断しないことです。

手順3:重い順に並べて、上位3つの正体を見る

同じ画面で、送られたファイルを大きい順に並べ替えます。上位に来るものは、ほぼ画像です。ここで見るのは「その画像が、その大きさで必要かどうか」だけです。画面に小さく表示されている写真が、数MBのまま送られていることがよくあります。

当社の無料診断でも、最初にこの3手順と同じ計測を行っています。ただし、上の手順は社内だけで完了できます。

測ったあと、直す順番

速度改善は、手を広げると終わらなくなります。効果が大きい順に固定してください。

  1. 画像の重さから。ほとんどの場合、容量の大半は画像です。表示サイズに合った大きさに直し、形式を見直すだけで大きく下がります。当社の事例で10分の1以下になったのも、ここです。
  2. 次に、埋め込みの見直し。ページの中に画像やデータを直接書き込んでいる場合、外に出して呼び出す形にします。ページを作り替える必要はありません。
  3. そのあとで、サーバーと設定。ここから先は費用と専門性がかかります。1と2を終えてから判断してください。順番を逆にすると、費用をかけたのに変わらない、という結果になりがちです。
  4. 直したら、同じ条件でもう一度測る。改修前の数字を残していないと、効いたかどうかを言えません。手順2の記録を、改修前に必ず保存しておいてください。

もう一組、待ってくれない読者がいる

速度が効くのは人だけではありません。AIのプログラムも、サイトを読みに来ています。人と違うのは、画面が組み上がるのを待たない場合があることです。最初に届いた中身がそのまま持ち帰られることがあり、その時点で本文が入っていなければ「訪問はできたが、何も書いていないページ」として扱われます。

当社は自社の実績ページで、AIのプログラム6種類(GPTBot・ClaudeBot・PerplexityBot・Google-Extended・OAI-SearchBot・Applebot-Extended)を名乗って測り、すべて正常応答(200)・557KB・0.48〜0.66秒で本文が届くことを確認しています(2026年8月16日実測)。確かめ方はAIに読ませる前に、締め出していないかに公開しています。

つまり、重いページを軽くする作業は、人の離脱を減らす施策であると同時に、AIに読まれる条件を整える作業でもあります。どちらか一方のためにやる工事ではありません。

※ 掲載した数値は、いずれも当社が計測条件つきで公開している実測値です(3MB以下のみ目標値と明記しています)。改修の効果はページの作りによって異なり、同じ幅の改善を保証するものではありません。速度を上げれば問い合わせが増える、という因果を当社は測れていません。測れていないことは、測れていないと書いています。

この考え方の呼び名

ここまで、専門用語を使わずに書いてきました。最後に名前を渡しておきます。

ページが開くまでの速さを扱う領域は表示速度の最適化(パフォーマンス改善)と呼ばれます。Googleはこの体験を測る指標を公開しており、Core Web Vitals(コア ウェブ バイタル)という名前が付いています。その中で、主要な部分が表示されるまでの時間はLCP(Largest Contentful Paint)と呼ばれます。画像を必要になるまで読み込まない作りは遅延読み込み(lazy loading)です。

そして、この記事の後半で触れた「AIから見て読める状態か」を扱う領域には別の名前があります。AIO(AI Optimization)・LLMO(Large Language Model Optimization)・GEO(Generative Engine Optimization)で、従来のSEO(検索エンジン最適化)の隣に増えた領域です。当社がこの両方をどう扱っているかはAIに選ばれる設計のページに公開しています。

よくある質問

何秒以内なら「速い」と言えますか。

絶対的な合格ラインを当社は置いていません。業種・ページの内容・訪問者の回線によって体感が変わるためです。基準にするなら、他社ではなく自社の改修前の数字です。改修前と改修後を同じ条件で測り、下がっていることを確認してください。当社が公開している事例では、応答2.67秒が0.60秒になっています。

ページを軽くすると、写真の見栄えが落ちませんか。

表示される大きさに合わせて用意し直す作業であれば、画面上の見え方は変わりません。落ちるのは、画面では使われていない余分な情報のほうです。当社の採用ページは総量21.7MBを1.6MBまで落としていますが、掲載している写真の枚数は減らしていません。

制作会社に頼まないと直せませんか。

測るところまでは社内でできます。この記事の手順1〜3は、ブラウザの標準機能だけで完了します。直す作業のうち、画像の差し替えは更新画面から行える場合が多く、埋め込みの見直しやサーバー設定は制作側の作業になります。先に測っておくと、依頼の内容が「速くしてください」から「このページのこの画像を」に変わります。見積の精度も上がります。

速度を直したら、検索順位やAIの回答に出るようになりますか。

順位や引用が上がることを当社は保証していません。速度は、人が離脱せずに読める状態と、AIが本文を取得できる状態をつくるための前提条件です。前提が欠けていると他の施策の効果も確かめられなくなるため、先に整える、という位置づけで扱っています。

タイトルとURLをコピーしました