ホームページはあるのに、問い合わせが来ない。この相談を受けたとき、当社が最初にするのは「作り直しましょう」ではなく、原因がどの層にあるかの切り分けです。「来ない」には性質の違う3つの問題が混ざっており、層を間違えて手を打つと、費用だけかかって何も変わりません。この記事では、その切り分けを自分で行う方法を書きます。
「問い合わせが来ない」には、3つの別々の問題が混ざっている
症状は同じ「来ない」でも、原因は次の3層に分かれます。
| 層 | 何が起きているか | 手を打つ場所 |
|---|---|---|
| 第1層:届いていない | そもそも人がページに来ていない | 検索・AI・広告・SNSなど、入口 |
| 第2層:読めていない | 来たが、重い・崩れる・分かりにくいので離脱する | 表示速度・スマホ表示・構成 |
| 第3層:選ばれていない | 読んだが、頼む理由が見つからない | 実績・違い・判断材料の中身 |
大事なのは、下の層を直しても、上の層の問題は解決しないことです。誰も来ていないサイトのデザインを整えても問い合わせは増えませんし、読みにくいサイトに実績を足しても読まれません。だからまず、自社がどの層で止まっているかを確かめます。
第1層:そもそも人が来ているかを確かめる
最初に見るのはアクセス解析です。Googleアナリティクス(GA4)などが入っていれば、月に何人がサイトを訪れているかが分かります。
確認することは2つだけです。
- 解析ツールが入っているか。入っていない・ログインできる人が社内にいない、という会社は珍しくありません。その場合、以降の判断はすべて勘になります。まずここからです。
- 訪問がほぼゼロではないか。訪問が月に数十件を切っているなら、問題は第1層です。ページの中身をいくら直しても、見る人がいなければ結果は変わりません。
第1層で止まっている場合、打ち手は検索で見つかる状態を作ること(SEO)、AIの回答に出る状態を作ること、広告、SNS、既存客からの紹介動線などの「入口側」になります。どの入口が合うかは商材によって変わるため、ここでは「第2層・第3層の改善はまだ早い」という判断ができれば十分です。
第2層:来ているのに、読める状態になっていない
訪問はあるのに問い合わせがない場合、次に疑うのは「読めるか」です。よくあるのは次の3つです。
- 重い。画像が大きすぎて表示に数秒かかる。開き終わる前に戻るボタンを押されます。
- スマホで崩れる。PCでは整っていても、スマホで文字が小さい・ボタンが押しにくい・横にはみ出す。スマホで開いたときに読めなければ、その訪問はそこで終わります。
- どこに何があるか分からない。サービス内容・料金・問い合わせ先にたどり着くまでに何回もタップが要る。
実例をひとつ挙げます。当社が改修したある店舗のランディングページは、ページの重さが6.86MBありました。ページに直接埋め込まれていた画像を外部化して作り直したところ0.52MBになり、サーバー応答は2.67秒から0.60秒になっています(実績ページに計測条件つきで公開しています)。重さは、内容以前の「読める前提」の問題です。
確かめ方は簡単で、自分のスマホの回線(社内Wi-Fiではなく)で自社サイトを開き、体感で数えることです。表示に3秒以上かかるようなら、この層に問題があります。
第3層:読めたのに、選ばれていない
届いていて、読めてもいるのに問い合わせがない場合、残るのは中身です。訪問者は比較しています。あなたのサイトを見た後、競合のサイトも見ています。そのときに判断材料が置かれているかどうかです。
- 実績が具体的に書かれているか。「実績多数」ではなく、何をして、何がどう変わったか。
- 他社との違いが書かれているか。同じ業種のサイトと並べたとき、選ぶ理由が文章になっているか。
- 頼んだ後の流れと費用の目安が書かれているか。不明なものには問い合わせづらい、という単純な話です。
当社があるコーポレートサイトを全公開ページ横断で点検したときは、再現確認まで行って確定した指摘が122項目になりました。技術的な問題だけでなく、こうした判断材料の欠けも精査で拾い出します。1つずつは小さくても、積み重なると「読んだが、決め手がないサイト」になります。
見落とされている、4人目の読者
ここまでの3層は「人」の話でした。最近はもうひとつ、確かめるべき読者が増えています。AIです。
ChatGPTやGeminiで「◯◯を頼める会社は?」と探す人が増えており、AIは実際にWebサイトを読みに来て、読めた内容から回答を組み立てています。人には普通に見えているのに、AIからは読めない状態になっているサイトも実在します。つまり第1層(届く)と第2層(読める)には、人向けとAI向けの両方があるということです。
確かめ方はここでも無料です。ChatGPTやGeminiに、客の立場で「◯◯を頼める会社は?」と聞いてみて、自社が出てくるか・どう説明されるかを見る。この聞き方と、返ってきた答えの読み方はChatGPTに聞いても自社が出てこないにまとめています。そして、AIの巡回プログラムが自社サイトを読める状態になっているかを確かめる。後者の実測方法はAIに読ませる前に、締め出していないかに、当社サイトでの実測値とあわせて書いています。
切り分けたら、上の層から直す
3層+AIの視点で確かめると、自社の「来ない」がどの層の問題かが記録として残ります。直す順番は上から——届く→読める→選ばれる、です。当社が自社サイトでこの順番を実際にやったときの工程と数値は全記録として公開しています。
どの層かによって、直す相手も変わります。第2層は制作側の仕事、第3層は経営側でしか出せない中身(実績・違い)が中心です。全部をまとめて「リニューアル」として発注すると、この区別が消えてしまうので、切り分けの記録を持って相談することをおすすめします。当社の無料診断(URLを送っていただくだけ)でも、この3層+AIの観点で現状を確認しています。
この考え方の呼び名
最後に名前を渡しておきます。第1層の「検索で見つかる状態を作る」ことはSEO、AIの回答に出る状態を設計することはAIOやLLMOと呼ばれます。用語の関係と着手の順番はSEO・AEO・LLMOの違いに整理しています。ただ、名前より先に、この記事の切り分けです。層が分かっていれば、どの施策の話を聞くべきかも自然に決まります。
よくある質問
リニューアルすれば解決しますか。
層によります。第1層(届いていない)が原因なら、見た目を作り直しても訪問は増えず、結果も変わりません。リニューアルを検討する前に、この記事の切り分けで「どの層の問題か」を確かめることをおすすめします。
広告とSNS、どちらをやるべきですか。
どちらも第1層(入口)の手段です。第2層・第3層に問題が残ったまま入口だけ増やすと、来ても離脱する状態にお金を払うことになります。順番としては、読める・選ばれる状態を確かめてから入口に投資するほうが無駄がありません。
制作会社に任せているのに、来ないのはなぜですか。
役割の線引きの問題であることが多いです。制作会社の仕事は多くの場合「作ること」で、公開後にどの層で止まっているかを測って直すことは契約に入っていないことがあります。責める話ではなく、測って直す役割を誰が持つかを決める話です。
費用をかけずにできることはありますか。
この記事の切り分け自体は全部無料でできます。アクセス解析を見る、スマホ回線で開いてみる、競合と並べて判断材料を見比べる、AIに聞いてみる。ここまでで現状の記録ができ、直す優先順位が決まります。

