構造化データは入れる意味があるのか|効果の測り方と、先にやること

AI・AIO/LLMO

「構造化データを入れましょう」と提案されたが、効果が分からないので判断できない——というご相談があります。先に結論を書きます。構造化データは、順位を上げる仕掛けではなく、ページに書いてあることを機械が誤解しないための注釈です。したがって、ページに事実が書かれていない状態で入れても、注釈する中身がありません。この記事では、何をしているものなのか、入れる前に順番として先に来るもの、そして「効果を測れる部分」と「測れない部分」の線をどこに引くかを書きます。

構造化データが実際にしていること

ホームページは、人が読むための文章でできています。「創業は2010年」「対応エリアは茨城県」——人は前後の文脈から、これが会社の設立年であり、サービスの提供範囲だと分かります。機械は、そこまでの前提を持っていません。

構造化データは、その文章の隣に機械向けの注釈を置く仕組みです。「この数字は設立年である」「この会社の名前はこれである」「この一覧は、質問と答えの組である」といったラベルを、画面には出さない形でページに書き添えます。読み手には見えず、読み取る側にだけ届きます。

ここから、性質がひとつ決まります。注釈は、本文に書いてあることにしか付けられません。ページに書いていない実績や、まだ決めていない料金を、注釈にだけ書くことはできません。書いた場合、表示される内容と機械が読む内容が食い違い、かえって信用を落とします。

「入れれば順位が上がる」ではない

期待の置きどころを間違えると、後で「効果がなかった」という結論になります。実際に起きるのは、次のようなことです。

  • 検索結果の見え方が変わることがある——質問と答えの組、パンくず、評価の表示など、決められた種類に限って追加表示の対象になります。ただし表示するかどうかは検索エンジン側の判断で、入れれば必ず出るものではありません。
  • 会社や事業の情報が、機械側で結び付きやすくなる——社名・所在地・事業内容・各ページの関係が、推測ではなく明示された状態になります。
  • 順位そのものへの直接の効果は、当社は測れていません——構造化データだけを入れて、他を何も変えずに順位の変化を追う、という検証は現実の運用では成立しないためです。

3点目は、多くの説明で曖昧にされる部分なので、そのまま書いておきます。当社は「測れない改善は提案しない」を最初に決めているため、測れていないことは測れていないと書きます。

入れる前に、順番として先に来るもの

注釈より先に必要なものが3つあります。ここが抜けたまま構造化データを入れても、費用に対する変化は出ません。

順番 整えるもの これが欠けていると何が起きるか
1 読める状態になっているか(機械が訪問でき、最初に届く中身に本文が入っているか) 注釈ごと読まれない。入れたかどうかを確認する術もない
2 事実が本文に書かれているか(事業内容・対応範囲・条件・数字とその計測条件) 注釈する対象が無い。空のラベルだけが残る
3 見出しの階層が通っているか(章と節が入れ子になっているか) どこからどこまでが1つの話なのかが機械に伝わらない
4 ここで構造化データ —

3番目は、当社自身がつまずいた箇所です。実績ページを作ったとき、最初の版ではセクションの見出しと個別案件の見出しが同じ階層になっていました。人が読む分には問題ありませんが、機械には「どれが章で、どれが節か」が分かりません。ページ全体を一本の階層に組み直しました。この経緯は自社サイトを、AIに読ませる設計で作り直した全記録に残しています。

1番目の確かめ方はAIに読ませる前に、締め出していないかに公開しています。当社の場合、ここは通っていたのに、AI向けに置いていた案内ファイルの中身が1か月前のまま更新されておらず、新しいページが載っていませんでした。入れることと、保つことは別の作業です。

効果を測れる部分と、測れない部分

提案を受けたときに確認すべきなのは、「効果があるか」ではなく「何がどう変わったら成功と呼ぶのか」です。線はここで引けます。

区分 内容 確認の方法
測れる(実装の成否) 注釈が構文として正しいか。エラー・警告が出ていないか Googleが公開しているリッチリザルトテスト、および検索コンソールの該当レポート。無料
測れる(表示の有無) 検索結果に追加表示が出たか 実際に検索して目視。日を変えて複数回
測れる(内容の一致) 注釈の内容と、画面に書いてあることが食い違っていないか ページを開いて突き合わせる。人の目で足りる
測りにくい 順位・流入・問い合わせへの寄与 同時期に他の改修も入るため、単独では切り分けられない
測れない AIが回答を作るときに、どの程度参照したか AI側の処理は公開されていない。出典に自社が出るかを数えることはできるが、因果は特定できない

見積や提案書に「構造化データ実装により順位が向上します」と書かれていたら、何をもって向上と判定するかを聞いてください。答えられない場合、その項目は成果ではなく作業として扱うのが安全です。作業として妥当な金額かどうか、という判断に切り替わります。

費用ゼロで、いまの状態を確かめる

入れるかどうかを決める前に、自社の現在地が分かります。30分ほどです。

手順1:主要ページに、いま何が入っているかを見る

Googleのリッチリザルトテストに自社のURLを入れると、そのページから検出された注釈の種類が一覧で出ます。トップページ、サービスページ、会社概要の3ページで試してください。何も検出されない場合と、検出されたがエラーが出ている場合では、意味が違います。

手順2:検出された内容と、画面の内容を突き合わせる

検出された会社名・所在地・事業内容が、いま画面に書いてあるものと一致しているかを見ます。ここで食い違いが見つかることがあります。制作時のまま更新されていない、テーマの初期値が残っている、といった状態です。間違った注釈は、無い状態より悪くなり得ます。

手順3:入れる対象を、ページ単位で決める

全ページに入れる必要はありません。会社の情報、サービスの内容、よくある質問——外から問い合わせにつながる判断に使われるページに絞ります。当社が製造業のお客様のサイト設計を行った際は、コラム137本を1本ずつ評価し、13ページのモックまで設計したうえで、構造化データの実装対象を20ページ選定しました(実装フェーズ進行中)。全部に入れるのではなく、選ぶ作業のほうに時間を使っています。

当社の無料診断でも、この3手順と同じ確認を行っています。ただし、上の手順は社内だけで完了できます。

※ 記載した件数は当社が実際に精査・設計した対象の実数で、計測条件とともに実績ページに公開しています。構造化データの実装によって順位・流入・問い合わせが増えることを、当社は保証していません。測れている範囲と測れていない範囲を、上の表のとおり分けて扱っています。

この考え方の呼び名

ここまで、専門用語を使わずに書いてきました。最後に名前を渡しておきます。

この記事で「機械向けの注釈」と呼んできたものが構造化データです。どういうラベルを使うかを定めた共通の語彙はschema.org(スキーマ・オルグ)と呼ばれ、その記述形式として現在よく使われるのがJSON-LDです。注釈が付いたことで検索結果に追加表示される形はリッチリザルト(リッチスニペット)と呼ばれます。

そして、これらを「検索で上位に出るため」ではなく「AIに正しく理解され、答えの根拠として選ばれるため」に設計する領域には別の名前が付いています。AIO(AI Optimization)・LLMO(Large Language Model Optimization)・GEO(Generative Engine Optimization)です。従来のSEO(検索エンジン最適化)との違いと着手順はSEO・AEO・LLMOの違いと、やるべき順番に、AI向けの案内ファイルを置くかどうかの判断はllms.txtとは何か、置くべきかにまとめています。当社がこの設計をどう扱っているかはAIに選ばれる設計のページに公開しています。

よくある質問

構造化データを入れれば、AIの回答に自社が出るようになりますか。

それだけでは変わりません。AIが参照するのは主にページの本文で、注釈はその理解を助ける補助です。本文に書かれていない事実は、注釈にも書けません。順番としては、本文に事実と条件を書くほうが先で、注釈はその内容を誤解されにくくする作業です。

WordPressのプラグインで自動的に入る、と言われました。それで足りますか。

足りる場合と足りない場合があります。自動で入るのは、記事の種類や日付といった一般的な項目までで、会社固有の情報や、ページごとの内容に応じた記述は対象外のことが多いためです。まず手順1で、いま何が検出されているかを確認してください。入っているつもりで入っていない、あるいは初期値のまま入っている状態が実際にあります。

全ページに入れるべきですか。

いいえ。外からの判断に使われるページに絞ってください。全ページに入れると、更新のたびに保守する対象が増えます。当社が支援したケースでも、全ページではなく20ページを選定しています。入れることより、内容と一致し続けることのほうが手間がかかります。

制作会社に頼まず、社内でできますか。

確認は社内でできます。この記事の手順1〜3は、無料のツールとページの目視だけで完了します。実装そのものはページの作りに依存するため、判断材料を社内で用意したうえで依頼するのが現実的です。「入れてください」ではなく「このページに、この情報を、画面の記載と一致させて」まで決まっていると、見積の精度が上がります。

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