SEO対策だけで集客が完結する会社は、多くありません。SEO対策が動かすのは、主に「検索したときに自社のページが見つかる」部分です。集客は、見つかる・比べて選ばれる・問い合わせる、の順に進みます。見つかった後に選ばれない、問い合わせまで進まないのであれば、検索順位を上げても成果は増えにくくなります。また、見込み客が検索以外の入口、たとえば会社名での検索、AIへの質問、紹介や地図から来ているなら、SEOの効き目はさらに限られます。この記事では、SEO対策が担う範囲、自社の見込み客がどこから来てどこで止まっているかを無料で確かめる方法、直す順番を説明します。
SEO対策が担っているのは「検索で見つかる」部分
見込み客が困りごとを検索したとき、検索エンジンは、質問に合うページを一覧にして返します。SEO対策は、この一覧で自社のページが見つかりやすくなるよう、ページの中身や構造、サイトの状態を整える取り組みです。検索する人がいる言葉について、答えになるページを用意し、検索エンジンが読みやすい形にしておくことが中心になります。
ここで押さえておきたいのは、検索で見つかることは、集客の入口にすぎないということです。一覧から自社のページを開いた人が、書かれている内容で自社を選ぶか、問い合わせの方法が分かるかは、SEO対策とは別の問題です。順位が上がってアクセスが増えても、問い合わせが増えないという相談の多くは、ここで止まっています。
もうひとつは、そもそも検索する人がいるかどうかです。業種や地域によっては、見込み客が困りごとを検索するより先に、知人に聞いたり、取引先から紹介を受けたりすることがあります。その場合、検索で上位に出ても、見込み客の目に触れる機会は限られます。
集客を3つの段階に分けると、SEOの守備範囲が見える
集客を段階に分けると、SEO対策が動かす部分と、別の手当てが必要な部分が分かれて見えます。以下は整理の観点で、どの段階で止まっているかを確かめるためのものです。
| 段階 | 起きていること | SEO対策で動くか | ほかに必要なこと |
|---|---|---|---|
| 見つかる | 検索・AI・紹介・地図などから、自社を知る | 検索での見つかりやすさは動く | 検索以外の入口(会社名での検索、AIの回答、紹介、地図情報)の手当て |
| 比べて選ばれる | ページを読み、他社と比べて候補に残す | ほとんど動かない | 何ができる会社か、なぜ選ぶ価値があるかを事実で示す内容 |
| 問い合わせる | 連絡の方法を見つけ、迷わず送れる | 動かない | 問い合わせの入口、フォームの分かりやすさ、返事の速さ |
どの段階で止まっているかによって、直す場所が変わります。見つかっていないのに問い合わせフォームを直しても、成果は変わりません。
ホームページから問い合わせが来ないときに、原因を層に分けて確かめる考え方は、問い合わせが来ない原因を3層で切り分ける記事で詳しく扱っています。本記事では、その中でもSEO対策がどこまで届くかに絞って説明します。
検索以外の入口では、SEOの効き目が限られる
見込み客が自社にたどり着く入口は、検索だけではありません。紹介で自社を知った人は、多くの場合、会社名で検索して公式サイトを確かめます。この場合に必要なのは、困りごとの言葉で上位に出ることではなく、会社名で調べたときに正しい情報が並んでいることです。
最近は、検索の代わりにAIに質問して、候補の会社を挙げてもらう人も出てきました。AIが回答に使う情報は、検索順位とは別の基準で選ばれると考えられており、検索で上位でもAIの回答に出ないことがあります。この違いは、検索順位は高いのにAIに引用されない理由の記事で整理しています。地域の店舗や事業所であれば、地図の情報や口コミから選ばれることも少なくありません。
つまり、SEO対策で足りるかどうかは、自社の見込み客がどの入口から来ているかで決まります。それを確かめないまま順位だけを追うと、見込み客がいない場所に費用をかけることになりかねません。
無料で・自分で・今日できる確かめ方
手順1:これまでの問い合わせが、どこから来たかを並べる
過去の問い合わせや受注について、相手が自社を知ったきっかけを書き出します。問い合わせフォームに「何で知ったか」の欄があればその回答を、なければ担当者の記憶や最初のやり取りのメールから拾います。検索、紹介、会社名で調べた、AIで見た、広告、地図と分けると、SEO対策が関わる入口の比重が見えてきます。
手順2:検索からの訪問を、会社名とそれ以外に分ける
Googleの検索結果での表示やクリックを確かめられる無料の道具(Google Search Console)を使っている場合は、検索された言葉の一覧を見ます。会社名やサービス名で検索された言葉と、困りごとの言葉で検索された言葉に分けます。会社名での検索が大半なら、見込み客はすでに自社を知ってから来ており、困りごとの言葉での順位を上げる効果は限られます。
手順3:検索から来た人が、どこで離れているかを見る
アクセス解析で、検索から来た人が最初に開いたページと、問い合わせページまで進んだかを確かめます。多くの人が最初のページだけを見て離れているなら、「選ばれる」段階で止まっています。問い合わせページまで来ているのに送信されていないなら、「問い合わせる」段階です。アクセス解析の見方に迷う場合は、アクセス解析で見る数字を3つに絞る記事が参考になります。
手順4:自社のページを、比べる人の目で読む
検索で上位にある競合のページと、自社のページを並べて読みます。何ができる会社か、どんな相手に向いているか、料金や進め方の目安、問い合わせの方法が、読んで分かるかを確かめます。見つかっても選ばれない理由は、この比べ読みで見えることが多くあります。当社の無料診断でも、この確認を行っています。
直す順番は、止まっている段階の手前から
手順1から4で止まっている段階が見えたら、そこから手を付けます。問い合わせページまで来ているのに送信されていないなら、先にフォームと問い合わせの入口を直します。ページを読んで離れているなら、選ばれるための内容を整えます。この2つを直さないまま順位を上げても、増えた訪問は同じ場所で止まります。
「選ばれる」「問い合わせる」の段階に大きな問題がないのに訪問が少ない場合に、初めてSEO対策が主役になります。そのときも、見込み客が実際に使う言葉で、答えになるページがあるかから確かめます。検索する人がいない言葉で上位を取っても、集客にはつながりません。
会社名で調べる人やAIに質問する人が多い場合は、会社の基本情報や事業の説明が、どこで調べても同じ内容で見つかる状態を整えることが、順位より先になります。具体的なページの書き換え方や設定は、業種やサイトの状態によって変わるため、この記事では扱いません。
どの手当ても、効果は同じ期間・同じ条件で前後を比べないと測れません。本記事では、SEO対策による集客の改善率は掲載していません。
この考え方の呼び名
検索結果で自社のページを見つけてもらいやすくする取り組みは、SEO(検索エンジン最適化)と呼ばれます。訪れた人が問い合わせや申し込みに進む割合を高める取り組みは、CRO(コンバージョン率の改善)と呼ばれることがあります。会社名やサービス名での検索は、指名検索と呼ばれます。
AIの回答の中で自社が正しく説明され、候補として挙げられるよう情報を整える取り組みは、AIO(AI最適化)やLLMO(大規模言語モデル最適化)、GEO(生成エンジン最適化)と呼ばれます。SEO対策だけで集客できるかを考えるときは、SEO・CRO・AIO/LLMO のどれが自社の止まっている段階に当たるかを見分けることが出発点になります。
よくある質問
SEO対策をすれば、問い合わせは増えますか。
SEO対策が動かすのは検索で見つかる部分です。ページを読んで選ばれるか、問い合わせの方法が分かるかは別の問題のため、順位が上がっても問い合わせが増えないことがあります。先にどの段階で止まっているかを確かめます。
検索順位が高いのに問い合わせが来ないのはなぜですか。
見つかった後の「選ばれる」か「問い合わせる」の段階で止まっている可能性があります。検索から来た人が最初のページで離れているか、問い合わせページまで来て送信していないかを、アクセス解析で確かめます。
SEO対策とAIO・LLMO対策は、どちらを先にやるべきですか。
自社の見込み客がどの入口から来ているかで決まります。困りごとを検索する人が多ければSEO、AIに質問して候補を探す人が多ければAIO・LLMOの比重が上がります。問い合わせのきっかけを並べて確かめるところから始めます。
SEO対策の効果はどう測ればよいですか。
同じ期間・同じ条件で、検索からの訪問数と、そこから問い合わせに進んだ数を前後で比べます。会社名での検索と困りごとの言葉での検索を分けて見ると、SEO対策で動いた部分を判断しやすくなります。

