「ChatGPTで調べて来ました」と言われることが増えた。では、実際にChatGPTから何件の問い合わせが来ているのか。数えようとすると、どこを見ればいいか分からない。先に結論を書きます。ChatGPT経由の問い合わせは「AIの回答に社名が出た」「回答のリンクからサイトに来た」「来た人が問い合わせた」の3層に分かれ、測れるのは後ろの2層だけです。1層目(回答に出た)は、相手がクリックしなければ何の痕跡も残りません。ですから「ChatGPTから何件来ているか」は、正確には「ChatGPTからサイトに来て、問い合わせた人が何人か」を数えることになります。これはアクセス解析の参照元と、問い合わせフォームの申告欄で、今日から数えられます。この記事では、なぜ3層に分かれるのか、無料で自分で数える手順、Google側のAI表示(AIによる概要)が分けて数えられない理由、0件だったときに急いで結論を出さない見方を扱います。AIの回答に自社が出るかどうかの確かめ方は別の記事で扱っているので、ここでは「来た後」を数えることに絞ります。
なぜ「ChatGPT経由」が分かりにくいのか
検索と違って、AIの回答は「答えの中で会社名を出す」ところまでで完結することがあります。「◯◯市で採用支援をしている会社は」と聞かれたAIが、3社の名前と特徴を文章で答えた場合、相手はその場で読んで終わることができます。サイトを訪れないので、アクセス解析には何も残りません。
一方で、AIが回答にリンクを添え、相手がそれをクリックした場合は、サイトに来た時点で「どこから来たか」(参照元)が記録されます。当社が観測した範囲では、ChatGPTの回答内リンクからの流入は、参照元が「chatgpt.com」として記録されています。リンクに「utm_source=chatgpt.com」という目印が付いていることもあり、その場合はさらに見分けやすくなります。ただし、これはAI側の仕様であり、予告なく変わり得ます。「今そう見えている」という観測として扱うのが安全です。
つまり、分かりにくさの正体は「AIの回答で完結した人」と「クリックして来た人」が混ざっていることです。前者は測れず、後者は測れます。この2つを分けて考えるだけで、何を数えればよいかがはっきりします。
AI経由は3層。測れるのは2層
| 層 | 何が起きているか | 測れるか | どこで見るか |
|---|---|---|---|
| ① 出た | AIの回答に社名やサービスが登場した | 測れない。自分で同じ質問を投げて観測するしかない | ChatGPT等に自分で質問して記録する(数えるのではなく観測) |
| ② 来た | 回答内のリンクをクリックして、サイトに訪れた | 測れる | アクセス解析(GA4等)の「参照元」に chatgpt.com 等があるか |
| ③ 問い合わせた | ②の人が、フォームや電話で連絡してきた | 測れる(2通り) | フォーム送信の参照元、またはフォームの「何で知ったか」欄の自己申告 |
「ChatGPTから問い合わせが来ているか」は、③を数えることです。ただし③は②を通った人の一部なので、②を先に見ないと、③が少ない理由(そもそも来ていないのか、来ているが問い合わせに至らないのか)が分かりません。
もう一つ注意が必要なのは、①と②③の間に時間差があることです。AIの回答で社名を知った人が、その場ではクリックせず、後日に社名で検索して来ることがあります。この場合、参照元は「検索」になり、ChatGPTの痕跡は残りません。数えられる数字は、実態より少なめに出る前提で見ます。
無料で・自分で・今日できる確かめ方
アクセス解析(GA4)が入っていれば、ここから先は費用がかかりません。入っているが見方が分からない、という場合は、先にアクセス解析の最初の3つの問いを読んでから戻ると、下の手順が短く済みます。
手順1:参照元に「chatgpt.com」があるかを見る
GA4の「集客」→「トラフィック獲得」で、期間を直近3か月にし、行の切り口を「セッションの参照元」に変えます。一覧の検索欄に「chatgpt」と入れると、ChatGPTからの訪問があればその行が出ます。1件も出なければ、少なくとも直近3か月はリンク経由の訪問が記録されていない、ということです(①の「出た」がゼロという意味ではありません)。同じ要領で「perplexity」「gemini」「copilot」なども見ておくと、どのAIから来ているかが分かります。
手順2:来た人が、どのページに入ったかを見る
行が出たら、その参照元に絞って「ランディングページ」(最初に開いたページ)を見ます。AIは会社のトップページではなく、質問に合ったページ(サービスの説明、コラム、事例)にリンクを張ることが多いためです。どのページが入口になっているかが分かると、③に進まない理由が「入口のページに問い合わせの案内が無い」だけだった、というケースを見つけられます。
手順3:問い合わせの側から数える
③は2通りで数えます。1つは、フォーム送信を「イベント」として計測していれば、そのイベントを参照元で切る方法です。もう1つは、フォームに「当社を何で知りましたか」の選択肢を置き、「ChatGPT等のAI」を選んでもらう方法です。後者は、①で社名を知って後日に検索で来た人も拾えるため、計測では消えてしまう分を補えます。両方を並べると、「計測では0件だが申告では月2件」のように、数字の差そのものが実態を教えてくれます。
手順4:Google側のAI表示は、分けて数えられないと知っておく
Google検索の「AIによる概要」や「AIモード」からのクリックは、ChatGPTのように別の参照元にはなりません。Googleの公式ドキュメント(Google Search Central「AI features and your website」)では、AI機能に表示されたサイトのトラフィックはSearch Consoleの検索トラフィック全体に含まれ、検索パフォーマンスレポートの「ウェブ」に計上される、と説明されています。つまり、通常の検索クリックと合算されており、「AIによる概要から何件」とは分けられません。ここは、分けられないことを前提に「検索全体」として見ます。
当社の無料診断でも、この参照元の確認を最初に行っています。ただし数える作業そのものは、上の手順で自社で完結します。
0件でも、急いで結論を出さない
手順1で行が出なかったとき、「AI対策は意味がない」と判断するのは早すぎます。理由は3つあります。
| 0件に見える理由 | 何が起きているか | どう見るか |
|---|---|---|
| 母数が小さい | 当社が観測した範囲では、AI経由の訪問は検索経由に比べて量が少なく、月に数件の単位で動く | 1か月で判断せず、3か月以上ためてから傾向を見る |
| リンクが無い回答 | AIが社名を出したが、リンクを添えなかった | ①の観測(自分で質問してみる)と組み合わせて見る |
| 経路が変わった | AIで知り、後日に社名検索や直接入力で来た | フォームの自己申告で拾う。社名検索の増減も見る |
AIの回答は同じ質問でも毎回変わるため、①を1回の観測で判断することもできません。回答の再現性をどう見るかはAIの回答が毎回変わるときの判断の仕方に書いています。②と③の数字は、この①の観測と並べて初めて意味を持ちます。
数えたあと、直す順番
数えて終わりでは、問い合わせは増えません。直す順番は、後ろの層からです。
まず③(来たのに問い合わせない)を見る。手順2で分かった入口ページに、問い合わせへの案内が無い・遠い・何を相談できるか書いていない、なら、そこを直すのが最も近い一手です。AIから来る人は、質問を持って来ています。入口ページで「その質問に答える会社だ」と分かり、次の行動が1つ示されていれば足ります。
次に②(来ていない)を見る。①で社名は出るのにリンクが無い、あるいは出ても他社のページが根拠になっている場合は、AIが引用しやすい形で自社の情報が置かれていないことが多いです。何を先に整えるかは、会社によって順番が違います。当社は自社サイトについて、AIクローラー6種すべてが正常応答(200)であることを2026年8月16日に測定し、見出し階層と構造化データの欠陥を自分で見つけて直したところから始めました。ただし、これは当社の順番であり、御社の順番は御社の現在地で決まります。
ここから先の、ページごとの直し方や、構造化データの書き方までは、この記事では扱いません。現在地(3層のどこで止まっているか)が分かった段階で、AIO・LLMOコンサルティングの無料診断に、サイトのURLを添えてご相談いただければ、当社側で同じ3層を見て返します。
この考え方の呼び名
ここまで、専門用語を使わずに書いてきました。最後に名前を渡しておきます。
サイトに来た人が「どこから来たか」を記録する仕組みは参照元(リファラー)と呼ばれ、リンクに付いている「utm_source」などの目印はUTMパラメータと呼ばれています。手順1で見たのはこの2つです。AIの回答の中で完結し、クリックが発生しない状態はゼロクリックと呼ばれることがあります。①が測れないのは、この状態が含まれるためです。
そして、AIの回答に自社が根拠つきで出る状態をつくる取り組みは、AIO(AI Optimization)、LLMO(大規模言語モデル最適化)、GEO(生成エンジン最適化)と呼ばれています。呼び名は複数ありますが、指している中身は同じで、この記事の3層で言えば①を増やし、②③へつなげる設計のことです。名前より先に、3層のどこで止まっているかを自社の数字で確かめておくと、これらの言葉を聞いたときに「自社に必要なのはどの層の話か」が判断できます。
よくある質問
ChatGPTからの訪問は、GA4で自動的に「AI」として分類されますか。
自動で「AI」という区分に分類される前提にしないことをすすめます。解析ツールの標準の分類(チャネルグループ)は、AIからの訪問を「参照」などの既存の区分に入れることがあり、区分の名前だけを見ていると見落とします。参照元の名前(chatgpt.com など)で見分ける方法を基本にしておくと、分類の仕様が変わっても数え方を変えずに済みます。
Google検索のAIによる概要から来た人は、どうすれば分かりますか。
現時点では分けられません。Googleの公式ドキュメントでは、AI機能に表示されたサイトのトラフィックはSearch Consoleの検索トラフィック全体に含まれ、検索パフォーマンスレポートの「ウェブ」に計上されると説明されています。通常の検索クリックと合算されているため、「AIによる概要から何件」という数字は出せません。検索全体の増減と、フォームの自己申告で補って見ることになります。
フォームに「何で知ったか」の欄を足すと、入力が面倒になって問い合わせが減りませんか。
選択式で1問なら、入力の負担はほとんど増えません。必須にせず任意にしておけば、答えたくない人はそのまま送れます。数えたいのは正確な件数ではなく「AIで知った人が実際にいるか、その割合がどう動いているか」なので、任意でも十分に傾向は取れます。自由記述にすると集計できなくなるため、選択式にすることをすすめます。
AI経由の訪問が月に数件しかありません。それでも対策する意味はありますか。
件数だけで決めないことをすすめます。見るべきは、AI経由で来た人の問い合わせ率が、検索や広告から来た人と比べてどうか、です。AIの回答を読んで質問を持って来た人は、来る前に会社の概要を知っていることが多く、件数が少なくても問い合わせに至る割合が違う場合があります。ただし、これは会社ごとに実測して確かめることであり、一般論として「AI経由は質が高い」と断定はできません。3か月ためて、率で比べてから判断してください。

