何から手をつけるべきか分からない|経営課題を原因でまとめ、最初の1つを決める

コラム記事

経営で何から手をつけるべきか分からないとき、多くの場合、課題が多すぎるのではなく、課題の順番が見えていません。一つずつ挙げると多く見える課題も、原因でまとめて並べ替えると、先に手を付けるべきものは少なくなります。先に選ぶのは、止まると売上や現場が止まるもの、そしてほかの課題の原因になっているものです。手を付けやすさは、その後で考えます。この記事では、課題が多く見える理由、紙1枚で課題を並べ替える手順、最初の1つを選ぶ観点と、選んだ後に確かめることを説明します。

課題が多く見えるのは、結果と原因が混ざっているから

経営の課題を書き出すと、「売上が伸びない」「人が採れない」「利益が薄い」「営業が特定の人に頼っている」「ホームページから問い合わせが来ない」と、いくつも並びます。どれも本当の困りごとですが、この一覧には、結果として表れている課題と、その原因になっている課題が混ざっています。

たとえば「売上が伸びない」は結果です。その原因は、「問い合わせが来ない」ことかもしれませんし、「問い合わせはあるのに受注につながらない」ことかもしれません。さらにその奥に、「営業が特定の人に頼っていて、その人の手が回っていない」という原因があることもあります。結果と原因を同じ並びで見ていると、どれも同じくらい大事に見え、手を付ける順番が決まりません。

課題の数が多いことと、手を付けるべきことが多いことは違います。原因でまとめると、いくつもの結果が一つの原因から出ていることが分かり、先に手を付けるべきものが絞れます。

紙1枚で、課題を原因でまとめて並べ替える

課題を並べ替えるときは、次の観点で分けると整理しやすくなります。以下は整理のための観点で、このまま使う診断の項目ではありません。

観点 問い 当てはまる課題の扱い
止まると事業が止まるか この課題を放っておくと、売上や現場の仕事が止まるか 先に手を付ける候補にする
ほかの課題の原因か この課題が解ければ、ほかの課題もいくつか軽くなるか 先に手を付ける候補にする
結果として表れている課題か ほかの課題が解ければ、自然に軽くなるか 原因の課題の後ろに回す
手を付けやすいか 社内だけで、費用をかけずに始められるか 同じ重さの候補が並んだときの決め手にする

手を付けやすさを最初の基準にすると、効果の小さい課題から片付けてしまい、本当に止まっている場所が後回しになることがあります。

この観点で並べ替えると、いくつもの課題が一つの原因にぶら下がっていることが見えてきます。たとえば、採用がうまくいかない、営業が回らない、新しい取り組みが進まないという課題が、いずれも「特定の一人に仕事が集まりすぎている」ことから出ている、という形です。その場合、先に手を付けるのは個々の課題ではなく、その一人に集まっている仕事の分け方です。仕事の集まり方を種類で分ける見方は、属人化した業務を3種類に分ける記事で整理しています。

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手順1:困りごとを、思いつくままに書き出す

紙1枚に、いま困っていることを思いつくままに書き出します。大きな話も小さな話も区別せず、「〜ができていない」「〜が足りない」という形でかまいません。この段階では順番を考えず、出し切ることを優先します。

手順2:それぞれに「なぜそうなっているか」を一つ書く

書き出した課題の横に、「なぜそうなっているか」を一つずつ書きます。その原因が、すでに一覧の中にある別の課題であれば、線でつなぎます。線が多く集まる課題が、ほかの課題の原因になっている候補です。原因が分からない課題は、分からないと書いておきます。

手順3:止まると事業が止まるものに印を付ける

一覧の中で、放っておくと売上や現場の仕事が止まるものに印を付けます。線が多く集まり、しかも印が付いた課題が、最初に手を付ける候補です。候補が複数ある場合は、社内だけで始められるものを先にします。

手順4:最初の1つについて、何が変われば解けたと言えるかを書く

選んだ課題について、「何が変われば解けたと言えるか」を一文で書きます。問い合わせの数、受注までの日数、特定の人に集まっている仕事の量など、後で確かめられる形にします。これが書けない課題は、まだ課題の言い方が大きすぎる可能性があり、もう一段分けて考えます。当社の無料診断でも、この確認を行っています。

最初の1つを選んだら、ほかの課題を一度止める

最初の1つを選んだ後に起きやすいのが、ほかの課題にも同時に手を付けてしまうことです。すべてが大事に見えるため、少しずつ並行して進めたくなりますが、人と時間が分散し、どれも途中で止まることがあります。選んだ課題が解けるまで、ほかの課題は一度止めるか、最小限の対応にとどめる判断も必要です。

また、選んだ課題に対して、すぐに道具やサービスを入れることから始めない方がよい場合があります。ホームページから問い合わせが来ないなら、作り直す前に、どこで止まっているかを確かめる必要があります。AIを入れたいなら、先に業務を棚卸しする必要があります。課題ごとの確かめ方は、問い合わせが来ない原因を3層で切り分ける記事や、AI導入を業務の棚卸しから始める手順で扱っています。

課題の並べ替えは、一度やれば終わりではありません。最初の1つが解けると、並びが変わり、次に手を付けるべきものが見えてきます。一定の期間ごとに紙1枚を見直し、手順4で書いた「解けたと言える状態」に近づいているかを確かめます。

並べ替えだけでは、動かないこともある

紙1枚で順番が見えても、実際に動かすとなると、社内の誰が担当するか、今の仕事のどれを減らして時間を作るか、という別の問題が出てきます。順番を決めることと、動かすことは別の仕事です。順番を決めたのに何も変わらない場合は、担当と時間の作り方を先に決める必要があります。

当社の経営支援でも、課題の整理から始め、優先順位と着手の順番を明確にしたうえで、実行の段階まで関わる進め方を取っています。本記事では、課題の並べ替えによって成果が出たことを示す実測値は掲載していません。効果は、手順4で書いた状態が前後でどう変わったかで確かめます。

この考え方の呼び名

いくつもの課題の中から、先に取り組むものを決めることは、課題の優先順位付けと呼ばれます。結果として表れている課題と、その原因になっている課題を分けて考えることは、原因分析や課題の構造化と呼ばれることがあります。全体の流れを止めている一か所のことは、ボトルネックと呼ばれます。

当社は、課題を原因でまとめて並べ替え、止まると事業が止まるものと、ほかの課題の原因になっているものから手を付ける順番を大切にしています。こうした課題の整理から実行までの支援を、当社は経営コンサルティングとして扱っています。

よくある質問

課題が多すぎて、どれも大事に見えます。どう選べばよいですか。

結果として表れている課題と、その原因になっている課題を分けます。止まると売上や現場が止まるもの、ほかの課題の原因になっているものを先に選び、手を付けやすさは同じ重さの候補が並んだときの決め手にします。

手を付けやすい課題から片付けるのはよくないのでしょうか。

手を付けやすさを最初の基準にすると、効果の小さい課題から片付けてしまい、本当に止まっている場所が後回しになることがあります。先に重さで選び、同じ重さのものの中で手を付けやすいものを選ぶ順番をおすすめします。

優先順位を決めたのに、何も進みません。

順番を決めることと、動かすことは別の仕事です。誰が担当するか、今の仕事のどれを減らして時間を作るかを決めていないと、順番が見えても動きません。担当と時間の作り方を先に決めます。

課題が解けたかどうかは、どう判断すればよいですか。

最初の1つを選んだ時点で、何が変われば解けたと言えるかを一文で書いておきます。問い合わせの数や、特定の人に集まっている仕事の量など、後で確かめられる形にし、一定の期間ごとに前後を比べます。

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