制作会社に言われてアクセス解析(GA4など)は入れた。管理画面を開くと数字とグラフは出る。ただ、何を見ればいいのか分からず、結局開かなくなった。先に結論を書きます。アクセス解析が読めないのは、画面の見方を知らないからではなく、「何を知りたいか」の問いが先に決まっていないからです。問いが無いまま画面を開くと、数十の指標がすべて同じ重さで並び、どれを見ても判断につながりません。逆に、問いを3つに絞れば、見る画面も3つで済みます。この記事では、経営者が最初に持つべき3つの問い、それぞれに対応する見方、費用ゼロで今日できる確認の手順、見たあとに何を決めるかの順番を書きます。広告の数字と解析の数字の突き合わせや、「問い合わせが来ない」原因の切り分け全体は別の記事で扱っており、ここでは「解析の画面を、判断に使える形で読む」ことだけに絞ります。
数字が多すぎて読めないのは、正常です
アクセス解析の管理画面は、あらゆる業種・規模のサイトに対応するために作られています。表示できる指標は数十から百を超え、そのほとんどは、特定の会社にとっては見る必要のない数字です。「全部見よう」とすると読めないのは、道具が悪いのでも、見る人の理解が足りないのでもなく、そう作られているからです。
制作会社や広告代理店から届く月次レポートも、この構造をそのまま引き継いでいます。ページビュー・セッション・直帰率・平均滞在時間が並び、前月比の矢印がついています。ただ、その数字が上がった・下がったで、経営者が何を決めればいいのかは書かれていません。当社がお客様のサイトで「何年も続けてきたコラムとSNSが本当に効いているのか」を半期分の実データで検証したときも、最初にやったのは指標を増やすことではなく、「効いている」を何で判断するかの問いを1つに決めることでした。
経営者が最初に持つ3つの問いと、対応する見方
当社がアクセス解析の相談で、最初に一緒に決めている問いです。この3つが答えられれば、当面の判断には足ります。
| 問い | 知りたいこと | 見る数字(1つだけ) | 分かると決められること |
|---|---|---|---|
| ① 何人来ているか | そもそもサイトに人が来ているか。月に何人か | 期間内の「ユーザー数」(訪問した人の数) | 人が来ていないなら、ページを直す前に、来る経路を作るのが先 |
| ② どこから来ているか | 検索・SNS・広告・直接入力・他サイトのリンクの、どれで来たか | 流入元(チャネル)別のユーザー数 | 時間と費用をかけている経路から、本当に人が来ているか。かけていない経路が実は効いていないか |
| ③ どのページで離れたか | 来た人が、どのページを最後に見て出ていったか | ページ別の「離脱数」または「離脱率」 | 問い合わせページの手前で離れているなら、そのページが直す対象 |
3つとも、指標名は解析ツールによって少しずつ違いますが、意味は同じです。「ユーザー数」「流入元」「離脱ページ」の3語だけ覚えれば、画面のどこを探せばいいかは分かります。直帰率・滞在時間・ページビューは、この3つが読めたあとで必要になれば見る数字で、最初は無視して構いません。
費用ゼロで、今日できる確認の手順
必要なのは、解析の管理画面へのログイン、紙1枚、30分です。ログイン情報が制作会社にしか無い場合は、まず「閲覧権限」を自社のアドレスに付けてもらってください。それ自体が、最初の確認です。
手順1:期間を「直近3か月」に固定する
画面右上などにある期間の指定を、直近3か月にします。1週間では少なすぎて偶然に左右され、1年では長すぎて変化が見えません。以後の確認は、すべてこの同じ期間で行います。期間を揃えないと、数字同士を比べられません。
手順2:ユーザー数を1つ、紙に書く
直近3か月のユーザー数を紙に書きます。月あたりに直すと、月に何人が自社サイトに来ているかが1つの数字になります。この数字が、以後すべての「多い・少ない」の基準になります。月に30人なら、ページの文章を直す前に、そもそも人が来る経路が要ります。月に3,000人なら、来ているのに問い合わせが無い理由を探す段階です。
手順3:流入元を、多い順に3つ書く
流入元(チャネル)別のユーザー数を見て、多い順に上位3つとその人数を書きます。ここで見るのは、自社が時間や費用をかけている経路が、上位3つに入っているかです。SNSを毎日更新しているのに流入元に出てこない、広告を出しているのに検索からの流入のほうが多い、という事実が、この1行で分かります。
手順4:離脱ページを、多い順に3つ書く
ページ別の離脱数を見て、多い順に3ページ書きます。トップページが1位なのは普通です。見るのは2位以下で、問い合わせフォームの手前のページ(サービス紹介・料金・会社案内)が上位にあれば、そのページで人が止まっています。フォームそのものが上位なら、フォームの入力段階で離れています。
ここまでで、紙には「月に何人・どこから・どこで離れた」の3行が書かれています。これが自社サイトの現在地で、月次レポートの何ページ分よりも、判断に使えます。
見たあとに決める順番は、① → ② → ③
3行が揃ったら、次の順で1つだけ決めます。3つを同時に直そうとすると、リニューアルの話になって止まります。
- ①ユーザー数が少なければ、ページを直す前に経路を1つ決める。月に数十人の段階では、どのページを直しても変化が数字に出ません。検索・SNS・紹介・広告のどれか1つを選び、3か月続けて、手順2の数字が動くかを見ます。
- ②流入元に、かけている手間が出ていなければ、その手間を見直す。毎日更新しているSNSが流入元に出てこないなら、更新を止めるか、投稿からサイトへの導線を1本足すかを決めます。「続けているから効いているはず」を、数字で確かめるのがこの段階です。
- ③離脱ページが問い合わせの手前なら、そのページだけを直す。直すのは1ページです。直したら、同じ期間の長さで離脱数を見比べます。前後で比べられるように、直す前の数字を必ず紙に残しておきます。
「来ているのに問い合わせが無い」の原因を層で切り分ける方法はホームページから問い合わせが来ないに、広告を出している場合に管理画面の数字と解析の数字を突き合わせる手順は広告の表示は増えたのに問い合わせが増えないに書いています。この記事の3行が揃っていれば、どちらの記事もそのまま使えます。
※ ここに書いた3つの問いは、当社がアクセス解析の相談で使っている整理の型です。当社の実績ページに載せている製造業のお客様の事例では、半期分の実データでコラム137本を1本ずつ評価し、そのうえでサイトの要件定義に進みました。ただし、解析を読めるようになった結果として問い合わせが何%増える、といった効果を当社が計測しているわけではなく、改善幅を保証するものではありません。当社の無料診断でも、まずこの3行を一緒に書くところから行っています。
この考え方の呼び名
ここまで、専門用語を使わずに書いてきました。最後に名前を渡しておきます。
サイトに来た人の数・経路・行動を記録して読む作業はアクセス解析(Web解析)と呼ばれ、代表的な道具がGoogle アナリティクス(GA4)です。この記事の①はユーザー数、②は流入チャネル(オーガニック検索・ソーシャル・有料検索・ダイレクト・リファラル等)、③は離脱ページや離脱率と呼ばれます。「何を知りたいか」を先に決めて、見る指標を絞る考え方は、KPI(重要業績評価指標)の設計や計測設計と呼ばれています。数字を見て1つ直し、前後で比べる進め方は、データ駆動の改善やPDCAと呼ばれるものの、最も小さい形です。
名前は最後で構いません。先に必要なのは、期間を3か月に固定して、ユーザー数を1つ紙に書くことです。当社のWeb集客支援の考え方はAIO・LLMOコンサルティングのページに公開しています。
よくある質問
制作会社から毎月レポートが届いています。それでは足りませんか。
レポートに「月に何人・どこから・どこで離れた」の3行と、それを受けて何を直すかが書いてあれば足ります。指標と前月比の矢印だけが並んでいるなら、自社で手順1〜4を一度行い、その3行をレポートに加えてもらうよう依頼してください。
数字が少なすぎて、見ても意味が無い気がします。
月に数十人でも、①の答えとしては十分に意味があります。「少ない」という事実が分かれば、次に決めるのはページの修正ではなく経路の確保だと分かるからです。数字が少ない段階で②③を細かく見る必要はありません。
GA4の画面が以前と変わっていて、どこに何があるか分かりません。
画面の配置は変わりますが、「ユーザー数」「流入元(チャネル)」「ページ別の離脱」の3つは、どの版でも用意されています。画面内の検索窓に、その言葉をそのまま入れて探してください。全機能を覚える必要はなく、この3つの場所だけ覚えれば足ります。
問い合わせが来た件数は、アクセス解析で分かりますか。
設定していなければ分かりません。フォームの送信完了を「計測する出来事」として登録する設定が別に要ります。設定されているかは、フォームを自分で1回送信し、その日の解析に記録が出るかで確かめられます。出なければ、設定が無いか、動いていません。

