自社サイトを、AIに読ませる設計で作り直した全記録|効いたこと・効かなかったこと

自社サイトをAIに読ませる設計で作り直した記録のイメージ。デュアルモニターでサイト構造を確認する様子 AI・AIO/LLMO

お客様はいま、検索窓だけでなくAIに聞いています。「◯◯を頼むなら、どこがいい?」——このとき、うちの会社の名前は出るのか。出ないなら、何が足りないのか。

この問いに「たぶんこうだろう」で答えたくなかったので、LAPUPは自社サイトを検体にして確かめることにしました。これはその記録です。うまくいったことだけでなく、お金を無駄にした失敗も書きます。失敗を伏せた実験記録は、広告と同じだからです。

1. なぜ自社サイトから始めたのか

LAPUPには最初に決めたルールがあります。測定できない改善は提案しない。

ところが「AIに選ばれるための設計」は新しい領域で、胸を張って引用できる他社事例がまだほとんど存在しません。事例がないものを売るとき、会社が取れる道は2つです。それらしい理屈で売ってしまうか、自分で最初の事例を作るか。

私たちは後者を選びました。最初の検体は自社サイトしかありません。効くかどうか分からない施策をお客様のサイトで試すわけにはいかない以上、順番は「自社で入れる → 測る → 効いたものだけ提案する」の一方向です。

2. 作り直す前のサイトはどうだったか

正直に書きます。2026年8月、自社の採用向けページで広告テストを走らせたとき、私たちは自分のサイトの「見えない配線」が壊れていることに気づきませんでした。

  • ページ内の全画像が開いた瞬間に一斉読み込みされる設定になっており、いちばん大事な最初の画面の表示を自分で遅くしていた
  • 計測イベントを送ってはいたが、受け皿側の登録が抜けており、成果が数字として残らない状態だった
  • 本来このページに関係のない広告タグが同居していた
  • 会社情報を機械が読める形で書いておく仕組み(後述)が欠けていた

結果、広告費13,080円ぶんのテストが「判定不能」になりました。高い学費です。この事故を境に、公開前・広告テスト前に必ず通す点検リストを社内の設計原則に追加しました。いま私たちがお客様のページを公開する前に必ず配線を確認するのは、この失敗が理由です。

3. AIはどうやって会社を探し、選んでいるのか

直したことを説明する前に、仕組みの話をします。専門用語は最後に出します。

人がAIに「◯◯を頼むならどこがいい?」と聞いたとき、AIは世界中のサイトを最初から読み直しているわけではありません。おおまかには、①検索などで候補ページを集め、②本文を読んで内容を理解し、③「この会社は何をしていて、何が根拠か」を取り出して、答えを組み立てます。

つまりAIに推薦されるかどうかは、およそ次の3つで決まります。

  • 見つかるか——検索の土俵に乗っているか(従来のSEOはここ)
  • 読めるか——ページの構造が整理されていて、機械が「会社名・事業・実績・よくある質問」を取り違えずに読めるか
  • 根拠があるか——「良い会社です」ではなく、引用できる事実(実績・数字・具体的な仕事)が書かれているか

この「読めるか」「根拠があるか」を整える領域が、AIO(AI最適化)や LLMO と呼ばれはじめているものです。名前は新しいですが、やることの半分は昔からの誠実なサイト作りと重なります。もう半分——機械向けの明示的な記述と、根拠の設計——が新しい部分です。

ひとつ断っておくと、AIの内部の仕組みは公開されていません。だから私たちは上の3条件を仮説モデルとして扱い、確かめられたものだけを残す方針を取っています。「AIには必ずこうすれば選ばれる」と断言する説明を見たら、疑ってください。

4. 何を直したか ①機械が読める側

見出しの階層を直した

ページの見出しは、機械にとって目次です。自社の実績ページを作ったとき、最初の版ではセクション見出しと個別案件の見出しが同じ階層になっていました。人間には読めますが、機械には「どれが章で、どれが節か」が分かりません。ページ全体を h1→h2→h3→h4 の一本の木に組み直しました。

構造化データを実装した

構造化データとは、ページの内容を機械向けに明示するラベルです。「LAPUPは会社である。事業はこれ。実績ページには9件の仕事が載っていて、それぞれの発注者はこの会社」——人間向けの文章とは別に、この情報を決まった書式で埋め込みます。

自社サイトでは、会社情報(Organization)、各サービス、よくある質問(FAQPage)、そして実績ページの一覧(CollectionPage と ItemList)まで実装しました。実物は実績ページのソースコードにそのまま入っています。この記事で書いていることが実装されているか、誰でも確認できます。

途中で踏んだ罠もひとつ

技術的な話をひとつだけ。WordPressには、本文の空行を自動で段落タグに変換する機能があります。この機能が構造化データの中の空行まで変換してしまい、公開直後の実績ページの構造化データは機械が読めない壊れた状態になっていました。公開後に実ページを機械で読み直す検証をしていたので気づけましたが、「入れたつもりで壊れている」構造化データは世の中に相当あるはずです。実装したかではなく、実際に読めるかを確認する。これも自社で踏んだから言えることです。

5. 何を直したか ②中身の側

構造を整えても、読まれた中身が空っぽなら推薦する理由がありません。ここが「見せ方だけ直しても選ばれない」と私たちが言い続けている理由です。

自社で言えば、長らく「実績」はトップページのロゴの羅列だけでした。ロゴは人間には雰囲気が伝わりますが、機械には画像が1枚あるだけです。そこで実績を1件ずつ、誰のために・何をして・何がどう変わったかまで書いたページを作りました(/works/)。

このとき決めたルールが3つあります。

  • 載せる数字は、社内の一次資料と突き合わせられたものだけにする
  • まだ本番に反映されていない仕事は「進行中」と正直に書く。完成したふりをしない
  • お客様の内部の数字や、直す前の状態の詳細は書かない

盛った実績は、人間相手なら短期的にごまかせても、根拠ごと引用するAIの時代には嘘の証拠を配ることになります。誠実さは倫理の話であると同時に、これからは技術的な安全策でもあります。

6. どう測っているか

測り方は3層です。

  • 検索の層——どんな言葉で表示され、クリックされているか(Search Console)
  • 行動の層——来た人がページを実際に見たか、読み進めたか、ボタンに触れたか、フォームを書き始めたか。この4段階を自前のイベントで計測しています。広告のクリック数だけでは「開いた瞬間に閉じた幽霊」と「読んだ人」を区別できないからです
  • 経路の層——AI経由の来訪を通常の検索と分けて集計する

正直な現在地も書きます。第一に、AI経由と分類できる自社サイトへの来訪はまだ月に数件のレベルで、傾向を語れる母数ではありません。第二に、この行動計測は当初、主要2ページにしか入っておらず、他のページは「離脱が多い」のではなく「そもそも測っていなかった」ことが後から分かりました。計測の欠落は、間違った結論を確信させるので、データがないことより性質が悪い。これも自社で踏んだ穴です。

7. 効いたこと・効かなかったこと

この記事でいちばん大事な章です。

効いたこと(数字で言えるもの)

  • 画像の軽量化。採用ページは画像の形式と読み込み設計を直して総量21.7MBを1.6MBまで落としました。飲食店のページでは6.86MB→0.52MB、応答2.67秒→0.60秒。表示速度は人にもクローラーにも効く、最も費用対効果の高い改修でした
  • 計測の整備。広告1クリックあたりの実質コストが数字で出るようになり(7月実測で1閲覧あたり95円)、続ける・止めるを感覚でなく数字で判断できるようになりました
  • 幽霊流入の判別。「ページを実際に見た」イベントを敷いたことで、クリックはあるのに表示に到達していない流入を切り分けられるようになりました

効かなかったこと・まだ分からないこと

  • 構造化データを入れても、順位や流入は即座には動きませんでした。これは想定どおりで、構造化データは「読める状態を作る」施策であって、流入を直接増やす施策ではありません。即効を期待して入れるものではない、と自社の数字で言えます
  • 最初の広告テストは無効になりました。前述の配線欠陥のせいで、13,080円ぶんのデータは判定に使えません。施策の前に配線、が結論です
  • 「AIに推薦されたか」を直接測る決定的な方法は、まだありません。AI経由の来訪は測れますが、AIの回答の中で名前が挙がったかどうかは外から完全には観測できない。ここは業界全体の未解決問題で、私たちは経路別集計と定点的な質問テストの組み合わせで近似している段階です

8. 自社サイトで確認できるチェックリスト

私たちが自社で使っている点検項目のうち、どの会社でも今日確認できるものを置いておきます。

  1. 検索結果に出るタイトルと説明文が、全ページ分ちゃんと書かれている(制作時の仮文字が残っていない)
  2. ページの見出しが h1→h2→h3 の階層になっている(見た目の大きさで選んでいない)
  3. 会社名・住所・事業内容が、画像ではなく文字で書かれている
  4. 「何をしてくれる会社か」が、トップページの最初の画面だけで分かる
  5. 実績が、ロゴの羅列ではなく「誰に・何を・どうなったか」で書かれている
  6. よくある質問が、実際に聞かれる言葉で書かれている
  7. ページの重さが3MB以内に収まっている
  8. 問い合わせの成果がイベントとして計測され、受け皿にも登録されている
  9. 構造化データが「入れたつもり」でなく、検証ツールで実際に読めることを確認済み
  10. これらを、公開した後にもう一度、公開中の実物で確認している

9. よくある質問

AIOとSEOは何が違うのですか?

土俵が違います。SEOは検索結果の一覧で上に出るための最適化、AIOはAIが答えを組み立てるときに正しく理解され、根拠つきで引用されるための設計です。重なる部分は多いですが、AIOは「読める構造」と「引用できる根拠」の比重が大きくなります。

構造化データを入れれば、AIに選ばれるようになりますか?

いいえ。構造化データは「機械が読み間違えない状態」を作るだけで、中身の根拠がなければ推薦する理由になりません。逆に、中身が良くても読めない構造なら取りこぼされます。両方必要です。

どのくらいの期間で効果が出ますか?

表示速度や計測の整備は即日〜数週間で数字に出ます。検索やAI経由の変化は月単位で、しかも自社の実測ではAI経由の来訪はまだ小さな数字です。「すぐ劇的に増える」と言う説明のほうを疑ってください。

中小企業がやる意味はありますか?

むしろ中小企業ほど意味があると考えています。AIへの質問は「大手を教えて」ではなく「うちの条件に合う会社を教えて」という形が多く、条件・地域・強みが明確に書かれた会社は、規模と関係なく候補に入りやすくなると私たちは考えています(第3章で述べたとおり、これは検証を続けている仮説モデルです)。書かれていない会社は、候補として拾われにくくなります。

自分たちでできますか?

第8章のチェックリストの1〜6は、社内で今日から確認できます。7以降は技術と計測の設計が絡むので、外部の手を借りるほうが早いことが多いです。LAPUPに頼む場合も、まず現状を測るところから始めます。測れない改善は提案しない、が最初のルールなので。


この記録は、施策と測定が進むたびに更新していきます。SEO・AEO・LLMOという用語の関係から整理したい方はこちらの解説を先にどうぞ。実際に作ったものは実績ページに、この領域の支援サービスはAIに選ばれる設計にまとめています。

自社サイトが「AIに聞かれたとき」にどう見えているか知りたい方は、無料相談からどうぞ。まず現状を見て、直せるところと直さなくていいところを切り分けてお伝えします。

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