ChatGPTに自社名を入れると、会社は出てきます。所在地も事業内容も合っています。ただ、その先が続きません。「〇〇を手がける企業です」で説明が終わり、「何が強いのか」「なぜ選ぶべきか」は一言も出てこない。先に結論を書きます。AIが強みを説明しないのは、強みが無いからではなく、サイト上の強みが「形容詞」で書かれていて、AIが根拠として拾える「事実」の形になっていないからです。「高品質」「豊富な実績」「きめ細かい対応」は、AIにとっては他社のサイトにも同じ言葉があるため、その会社を区別する材料になりません。この記事では、AIが根拠として使える事実の形とは何か、自社の強みがどの形で書かれているかを費用ゼロで確かめる手順、書き直す順番を扱います。「自社が出てこない」(認知の有無)と「サービス内容を間違えられる」(誤解)は別の記事で扱っており、ここでは「出てくるのに、強みが説明されない」段階に絞ります。
「実績豊富」は、AIには白紙と同じ
AIが会社を説明するとき、文の材料は主にその会社のサイトと、外部で言及されているページから集められます。そのとき「高品質なサービスを提供」「豊富な実績」「お客様に寄り添う」といった言葉は、材料として使いにくいものです。理由は単純で、同じ言葉が、同じ業種のほぼ全社のサイトにあるからです。どの会社にも当てはまる言葉は、その会社を説明する根拠にはなりません。
AIの回答をよく見ると、「〇〇を手がける企業です。詳細は公式サイトをご確認ください」のように、事業内容の次で止まっているものが多くあります。当社が観測した範囲では、この止まり方をする会社のサイトには共通点があります。強みのページはある。ただ、そこに書かれているのが形容詞と抽象語で、数字・条件・日付・固有の手順のような「他社と入れ替えられない情報」が無いのです。
逆に、AIが「この会社は〇〇に強い」と根拠つきで書くとき、その根拠には必ず具体があります。「〇〇業界で△件」「〇〇に対応(〇年〇月時点)」「〇〇の工程を自社で行う」。AIは判断しているのではなく、拾える形の事実を並べ直しているだけです。拾える形で置いてあるかどうかが、説明されるかどうかの分かれ目です。
AIが根拠として拾える「事実」の4つの形
当社が自社サイトとお客様のサイトで、強みの書き方を点検するときに使っている区分です。形容詞をこの4つのどれかに置き換えられるかを見ます。
| 形 | 形容詞の例 | 事実の形に直した例 | AIが拾えるようになる理由 |
|---|---|---|---|
| ① 数える | 豊富な実績 | 採用原稿の累計20,000件超(求人原稿1本=1件で集計) | 数と単位と数え方があると、他社と比較できる情報になる |
| ② 条件をつける | 幅広く対応 | 上場企業を含む企業の支援(採用・Web・経営) | 「誰に・何を」が限定されると、質問への該当判定ができる |
| ③ 日付を入れる | 最新の技術 | AIクローラー6種の取得が正常応答(2026年8月16日測定) | いつの事実かが分かると、古い情報として捨てられにくい |
| ④ 順番を示す | 丁寧な進め方 | 診断 → 設計 → 実装の順で、調べて終わりにしない | 手順は固有の情報になり、「どう違うか」の説明に使われる |
※ 事実の例は、当社の実績ページに公開している自社の情報から引いています。「事実の形に直すとどう見えるか」の見本として挙げているもので、この書き方によってAIの推薦が増えるという効果を当社が計測しているわけではありません。
4つの形に共通するのは、「他社のサイトにそのまま貼っても成立しない」情報だということです。逆に言えば、自社の強みの文を他社名に置き換えて読んでも違和感が無いなら、その文はまだ形容詞のままです。この置き換えテストは、次の手順でそのまま使います。
費用ゼロで、自社の強みがどの形で書かれているか確かめる
必要なのは、ChatGPTか同種のAI、自社サイト、紙1枚です。30分で一巡します。
手順1:AIに「この会社の強みは何ですか」と、社名つきで聞く
「〇〇株式会社(所在地)の強みを、根拠とあわせて教えてください」と聞きます。返ってきた文を、そのまま紙に書き写します。ここで見るのは、強みの文に「根拠」がついているかです。「〇〇に強みがあるとされています」だけで根拠が無い、あるいは「公式サイトをご確認ください」で終わっているなら、AIは拾える事実を見つけられていません。
出典リンクが表示される場合は、開いておきます。自社サイトが出典になっているのに強みが説明されていないなら、問題はサイトの書き方にあります。出典が自社サイトでない場合は、先にAIに読ませるべき自社情報の優先順位で扱った「層」の確認を済ませてください。
手順2:自社サイトの「強み」の文を全部抜き出す
トップページ・会社案内・サービスページから、自社の強みや特長を述べている文を、そのまま紙に書き出します。「選ばれる理由」「私たちの強み」といった見出しの下にある文が中心です。多くても10文程度に収まります。
手順3:他社名に置き換えて読む
抜き出した文の主語を、同業の他社名に置き換えて読みます。違和感なく読めてしまう文が、形容詞のままの文です。「豊富な実績」「高い技術力」「柔軟な対応」は、ほぼすべてこのテストで残ります。違和感が出る文(他社には当てはまらない文)だけが、AIが根拠として使える事実です。
10文のうち、置き換えて違和感が出る文が0〜1文なら、AIが強みを説明できないのは当然です。材料がありません。3文以上あるなら、材料はあるのに、手順1で拾われていないことになり、置き場所か読み取りの問題です。
手順4:残った文が、①〜④のどの形か分類する
手順3で残った文(他社に当てはまらない文)を、前の表の①数える・②条件・③日付・④順番のどれかに当てはめます。どれにも当てはまらないが固有ではある、という文(たとえば創業の経緯や代表の考え)は、会社を説明する材料にはなっても、「何が強いか」の根拠には使われにくいので、別枠にしておきます。
ここまでで、自社の強みが「形容詞のまま何文・事実の形で何文・どの形が欠けているか」が1枚に出ます。これが現在地です。
書き直す順番は、①数える → ③日付 → ②条件 → ④順番
4つを同時に整えようとすると、会社案内の全面書き換えになって止まります。次の順で1つずつ動かします。
- ①数えられるものを、数え方つきで1つ出す。件数・年数・社数・工程数など、自社の中で実際に数えられるものを1つ選び、「何を1件と数えたか」を添えて書きます。数え方が無い数字は、根拠として弱く、後で修正もできません。当社の「採用原稿の累計20,000件超(求人原稿1本=1件)」は、この形で書いています。
- ③その数字に、時点の日付をつける。「2026年8月末時点」のように、いつの数字かを書きます。日付が無い数字は、AIにとっていつの情報か判断できず、更新のたびに古い数字と新しい数字が混在します。
- ②「誰に・何を」の条件を、強みの文に足す。「幅広く対応」を「〇〇業の△△部門に対して、〇〇を行う」に直します。条件が狭くなることを心配する経営者は多いですが、AIが「この質問にこの会社は該当する」と判断できるのは、条件がある文だけです。
- ④進め方の順番を、固有の手順として書く。「丁寧に進めます」ではなく、「最初に〇〇を確認し、次に〇〇を決め、その後に〇〇する」と、順番そのものを書きます。順番は他社と入れ替えにくく、「どう違うか」の説明に使われやすい情報です。
書き直した文は、1ページに1主張で置きます。強みを10個並べたページは、AIには「どれが主か」が分からず、結局どれも拾われません。数えられる強みが1つ、根拠つきで置いてある方が、形容詞が10個並んでいるより説明されます。複数のサービスを1ページで説明していて意味が混ざっている場合は、ChatGPTが自社のサービス内容を間違えて答えるで扱った切り分けを先に行ってください。
※ 書き直したあとにAIの説明が変わるまでの期間や、変わる確率を、当社は計測できていません。AIの回答は日によって変わるため、書き直しの前後で同じ質問を複数回投げ、根拠の有無だけを比べることをすすめます。当社の無料診断でも、まずこの「形容詞か事実か」の分類から行っています。
この考え方の呼び名
ここまで、専門用語を使わずに書いてきました。最後に名前を渡しておきます。
AIの回答や検索結果に自社が根拠つきで出るように、サイト上の情報を設計することはAIO(AI Optimization)、LLMO(大規模言語モデル最適化)、GEO(生成エンジン最適化)と呼ばれています。この記事で扱った「形容詞を事実に置き換える」作業は、その中でも、AIが会社の信頼性や専門性を判断する材料(E-E-A-T:経験・専門性・権威性・信頼性、と呼ばれる評価観点)を、拾える形で提示する部分にあたります。強みを主張ではなく根拠で示すことは、マーケティングではRTB(Reason to Believe:信じる理由)と呼ばれています。
名前は最後で構いません。先に必要なのは、自社の強みの文を他社名に置き換えて読んでみることです。当社の「AIに選ばれる設計」の考え方はAIO・LLMOコンサルティングのページに公開しています。
よくある質問
数えられる実績がまだ少ない会社は、どうすればいいですか。
数の大小より、数え方と日付がついていることのほうが先です。仮に12社なら「対応社数12社(2026年8月末時点・継続契約中のみ)」と書くほうが、「豊富な実績」より根拠として強く、来年にはその数字を更新できます。少ない数字を隠して形容詞にするより、小さくても事実の形で置くほうが、AIには拾われます。
構造化データ(schema)を入れれば、強みは説明されますか。
構造化データは、ページに書いてある事実を機械が読みやすくする仕組みです。書いてある内容が形容詞のままなら、機械が読みやすくなっても根拠にはなりません。先に本文の強みを事実の形に直し、その後で構造化データに載せる順番です。
「強み」を具体的に書くと、競合に手の内を明かすことになりませんか。
数字・条件・日付・順番は、競合が見れば分かる程度の情報です。実装の細部(社内の手順書や判断基準の中身)まで書く必要はありません。この記事でも、当社は「診断 → 設計 → 実装」という順番までは公開し、各段階で何を見ているかの中身は公開していません。その線引きで十分です。
AIの回答に、自社の古い強み(もうやっていない事業)が出ます。
それは強みの書き方ではなく、廃止した情報の管理の問題で、この記事の範囲外です。まず、その事業のページが自社サイトにまだ残っていないかを確かめてください。残っていれば、AIはそれを現在の事実として拾い続けます。

