広告の表示は増えたのに問い合わせが増えない|5つの数字に分けて数える

コラム記事

広告の管理画面には、表示回数もクリック数も増えたと出ている。それなのに問い合わせは増えない——この相談で最初に確認するのは、広告でも原稿でもありません。先に結論を書きます。「見られている」という言葉が、5つの別々の数字の総称になっているためです。広告の表示/クリック/ページが実際に表示された回数/フォームに到達した回数/送信された回数は、それぞれ別の数です。どこまで数えているかが決まると、原因の場所は自動的に絞られます。この記事では、5つの数字の分け方と、管理画面3つを突き合わせて無料で確認する手順、地点ごとの直す順番を書きます。

「見られている」は、5つの数字の総称になっている

広告の話が噛み合わなくなるのは、たいてい言葉のところです。「閲覧が増えた」と言うとき、広告代理店は表示回数を指し、社長はサイトに来た人数を思い浮かべ、現場は問い合わせの手前まで来た人を想像しています。3人が別の数字を見たまま会話が進みます。

この状態でよく起きるのが、原稿やクリエイティブの作り直しです。ところが、落ちている地点がクリックの後ろにある場合、原稿をいくら変えても結果は動きません。先に決めるのは、どこまで数えられているかです。

5つの数字と、それが落ちているときの意味

広告からの流れを分解すると、数えられる地点は5つです。

数字 何を数えているか どこで取れるか ここで落ちているときの意味
① 広告の表示 広告が画面に出た回数。見られたかどうかは含まない 広告の管理画面 配信設定・予算・入札の問題。ページ側の話ではない
② クリック 広告が押された回数 広告の管理画面 広告の内容と、誰に出しているかのずれ
③ ページの実表示 クリックした人のうち、ページが実際に描画されたところまで到達した数 サイト側の計測(自分で入れる必要がある) 読み込みが遅い・端末で崩れる・リンク先が違う
④ フォーム到達 問い合わせフォームまでたどり着いた数。送信は含まない サイト側の計測 ページの内容と、来た人の期待のずれ
⑤ 送信完了 実際に送信された数 サイト側の計測・受信メール 入力項目が多い・送信でつまずいている

注意すべきは③です。②クリックと③実表示の差は、多くの会社で計測されていません。サイト側に計測を入れていない場合、②までは分かって③以降が空白になります。この状態だと「クリックは増えたのに問い合わせが増えない」としか言えず、間にある3つの地点のどこで落ちたかは永久に分かりません。

当社が自社の広告で実際に数えたときの数字

当社は自社の採用ランディングページでMeta広告を出し、上の分解で計測しています。2026年7月の確定値は、1閲覧95円(消化額 ÷ LPビュー。LPビューはページの実表示を計測した閲覧数)、フォーム到達2件(問い合わせフォームへの到達数であって、送信完了数ではありません)でした。数字はいずれも実績ページに、算出条件つきで公開しています。

ここで見ていただきたいのは金額の大小ではなく、「閲覧」を③の実表示で定義していることと、④を送信完了と分けて数えていることです。この2つを分けていないと、④が0件なのか、④はあるが⑤で落ちているのかが区別できません。改善の余地がどこにあるかは、この区別が付いて初めて言えます。

※ 上記は当社自身の広告における実測値であり、業種・商材・配信面が違えば数値は変わります。この金額を基準として提示するものではなく、成果を保証するものでもありません。当社はこの広告について、送信完了に至る件数の改善幅を公開できる段階には至っていません。測れていないことは、測れていないと書いています。

無料でできる確認:管理画面3つを、同じ期間で突き合わせる

新しいツールは要りません。1〜2時間で終わります。

手順1:期間をそろえて、3つの画面を同時に開く

広告の管理画面/アクセス解析(GA4など)/問い合わせの受信箱、この3つを同じ日付範囲で開きます。月次でも週次でも構いませんが、期間がずれていると比較になりません。

手順2:②と③の差を見る

広告管理画面のクリック数と、アクセス解析側で見えるそのページの表示数を並べます。ここで大きく減っているなら、原因はページの表示そのものです。読み込みの重さが人の離脱に何をするかはホームページの表示が遅いと何が起きるかにまとめています。

差が測れない(アクセス解析側にそのページの数字が無い)場合、それが今日の答えです。計測の受け皿が無い状態なので、原稿を直す前に計測を入れます。

手順3:④と⑤の差を、受信箱で確かめる

フォーム到達を計測していない場合でも、受信箱の件数(⑤)は必ず分かります。⑤が0で、③は出ているなら、落ちているのは③〜⑤のどこかです。ここまで来たら、フォーム到達の計測を1つだけ足せば、④か⑤かが確定します。

あわせて、フォームからの通知メールが迷惑メールに振り分けられていないかも確認してください。送信はされていたが届いていなかった、という事例は実際にあります。

落ちている地点ごとに、直す順番が変わる

  1. ③が測れていない場合:計測を先に入れる。これが最優先です。計測が無い状態での改善は、結果を確認できないため、やった/やらないの記録しか残りません。原稿の差し替えも配信設定の変更も、③が見えてから行います。
  2. ②→③で落ちている場合:ページの表示側を直す。読み込みの重さ、スマートフォンでの崩れ、リンク先の誤りの順で確認します。広告の内容は触りません。
  3. ③→④で落ちている場合:ページに来た人の期待と中身のずれを見る。広告で書いたことと、ページの最初の画面に書いてあることが同じか。ここがずれていると、来た人はすぐ戻ります。
  4. ④→⑤で落ちている場合:入力項目を減らす。ここまで来ている人は意思があります。項目数と必須指定を見直します。当社の無料診断フォームは入力1分の設計にしていますが、短縮によって送信が何%増えるかは測れていないため、数値としては出していません。

広告に限らず、サイト全体として問い合わせが来ない場合の切り分けはホームページから問い合わせが来ないで、原因を3層に分けて扱っています。この記事は、そのうち「広告で連れてきた人が、どこで消えたか」に限定しています。

この考え方の呼び名

ここまで、専門用語を使わずに書いてきました。最後に名前を渡しておきます。

①〜⑤のように、人が段階を進むごとに数が減っていく構造はファネルと呼ばれます。⑤にあたる「達成してほしい行動」はコンバージョン、それ1件あたりの費用はCPA(顧客獲得単価)、クリック1回あたりの費用はCPCです。③を数えるためにページ側へ仕込む仕組みは計測タグやイベント計測と呼ばれ、これが無い状態は計測の受け皿が無いと表現されます。

名前は最後で構いません。先に必要なのは、自社の「見られている」がどの数字を指しているかを決めることです。当社が計測と設計をどう一体で扱っているかはAIに選ばれる設計のページに公開しています。

よくある質問

アクセス解析は入っていますが、広告の数字と合いません。

合わないのが普通です。広告側とサイト側は、数える対象も判定の方法も違います。大事なのは一致させることではなく、同じ物差しで前月と比べられることです。2つの数字の比率(クリックに対する実表示の割合など)を毎月同じ方法で出し、その推移を見てください。

計測を入れるのに費用はかかりますか。

アクセス解析そのものは無料で始められます。費用がかかるのは、どのページの何を計測するかを決めて設定する作業のほうです。まずは広告の着地ページ1枚だけに絞れば、範囲は小さく収まります。

問い合わせが0件でも、広告は続けるべきですか。

③が測れていない状態なら、続けるか止めるかの判断材料がありません。まず1か月、計測を入れた状態で回してから判断してください。判断できない状態で費用を使い続けることが、いちばん高くつきます。

フォーム到達を計測しているのに、送信が0件です。

入力項目の数と必須指定、送信ボタン付近の表示崩れ、そして送信後の通知が届いているかの3点を順に確認してください。送信自体は成立していて、通知メールだけが届いていないという事例があります。受信箱だけでなく、迷惑メールフォルダも見てください。

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